真正面からバッハに向き合った真摯な演奏。
一言でいうとストレート直球勝負の潔さを感じる。
この2曲はイギリス組曲中もっとも有名な2トップ
だが、決して万人向けの曲ではない。
ピアノの音色によりより陰鬱さと単調さが強調され
さらに普段は省略されがちなリピートをすべて網羅し
装飾変奏においても例外なくリピートするという徹底ぶり。
またポゴレリッチ独自のリピートも加え、オリジナルより
さらに長大な構成となっている。
サラバンドでは装飾変奏も含め、これでもかというくらいの
リピートなので聴き手にとっては集中力と緊張感を最大限に
強いられることになるのだが、そのあとに来る流行舞曲のなんとも
軽やかで、美しい響きが、まるでオアシスのごとく乾いた
のどを癒してくれるようだ。締めのジグに関しては(特に
第3番)これほどの名演奏はまずない。バッハのポリフォニック
をこれほどさりげなく、しかも正確な打鍵で表現できる人は
少ないだろう。聴くたびに鳥肌がたつ名演だ!