ジョーカーのオリジンは既にいくつか発表されていますが、中でも本書はバットマンとジョーカーの関係を描いたものとしてかなり明快で適確になっています。
時期としてはバットマン活動一年目、マフィアを圧倒し警察(ゴードン)との協力を取り付けた頃のお話。
覆面のヴィジランテとして自信をつけつつあるバットマンに、大きな障害として立ち塞がる存在としてジョーカーが現れます。
新たな敵の登場に悩み苦しむ若きバットマンは、普段の堂々としたイメージからかなり離れていて、心理的な重圧をかけられました。
一方ジョーカーは、生きる意味を失い自暴自棄になる中、人生に残された最後の執着の対象としてバットマンを見出だします。
出会いが互いに戸惑いを生み、戸惑いから興味や憎しみに変化していき、そしてその存在を受け入れ、
自分なりに折り合いをつけて対処法を生み出していく様は人間関係の変化そのものを見事に描いているように見えます。
また、表題は二人の関係そのものかも知れません。
個人的に驚いたのはバットマンとヒロインだけでなく、もう一組のラバーズの出会いが描かれている点。
これも既存のオリジンとは若干矛盾する部分もありますが、僕はアリだと思いました。
最後にアートについて。主線を重視し大胆に陰影をつける絵は読みやすく、ページ構成も個人的に好みです。
(90年代のジョン・ロミータjrにちょっと似ているかな…?)
ジョーカーの整った顔が狂気の進行につれて歪んでいく表現に注目して下さい。