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I・IIを読んだ方なら、すでにこのおはなしに出てくる
主要な登場人物が全員とても魅力的なことにはお気づきでしょう。
天才的ピッチャー・巧、度量の広いキャッチャー・豪、
兄である巧に憧れる弟・青波・・・
IIIでは中学の野球部に入った巧たちが、
ただ野球が好きというだけでは
どうにもできない組織とか規律とか、
そういうものに抗う姿が描かれています。
多分どんな中学にも、体育系のクラブには怖い監督がいて、
カッコいい先輩も嫌な先輩もいて、
一緒に泣いたり笑ったりする同級生たちがいます。
このおはなしの中に出てくるのは何も特別なことではありません。
それなのに夢中になって読んでしまいます。
たとえぶつかり合うことがあっても心の深いところで
理解し合い求め合う仲間や、生活の全てを賭けられるもの
(この中では野球)があること。
自分の学生時代を思い出して、何となく近いものは
あったかもしれないけど、やはりここまでではなかったなぁ、
とちょっと嫉妬してしまうほどです。
これからこの少年たちがどう成長していくのか。
いつまでも見ていたいような、
もうこのあたりで美しくとどめておきたいような、
複雑な気持ちになりつつ、やっぱり次が楽しみなのです。
一気に五巻まで借りて読みました。大人にとっては十三歳なんて何も知らず何も考えてない子供に見えるのかもしれませんが、この本を読むとそんなこと恐れ多くて言えませんね。自分なんかよりもずっと大人に思えるときもあるし、思わず手を差し伸べたくなる脆さもある。そんな少年たちの葛藤が生き生きと書かれています。会話の掛け合いも絶妙で面白いです。中学生だったとき、何かに夢中で真剣だった人には、共感できる心理があるのではないかと思います。
もう、ほんとに面白いから!!
―――寂しくない?
一人で、独りで、たった独りでマウンドという場所に立つことは、寂しいことではないのだろうか。
一人でいるということと、独りであるということは、まるで違う。
一人が二つ集まれば二人だが、独りは誰といてもどこにあっても、『ふたり』になることはできない。
それは絶対的な孤独でしかない。
独りマウンドに立ち続ける巧の存在に、声に出せない寂寞を感じとる青波。
他者を寄せつけない巧の精神の原点と、青波との兄弟のかたちを垣間見たような気がしました。
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