日本経済新聞の書評欄(2011/9/25)は、本書が派遣大使にありがちなバチカン側に立って書いていて、プロテスタントを「原理主義」と決めつけ、カトリックに対し批判的視点がないとネガティブな視点でまとめていた。この手の本の書評子には隠れ〇〇が素性を隠して書く場合があって、その書評もその類のように思える節がある。
その立場からするなら、本書の書き出し部分は相当に刺激的であり、均衡を逸していると感じられても不思議はないであろう。かく言う私も「ちょっとはしゃぎすぎでは」との印象を持ったことは事実である。
しかし、後半まで丹念に読んでいくなら、筆者がバチカンの多元的思考と異文化との交渉力を高く評価しようとしていることが分かってくるし、なにより本書を通じて、普段日本人が視野から落としている地球規模での諸問題へバチカンなりカトリック教会なりが、使命観(プロテスタント的なそれではない)をもって日々立ち向かっている姿を知る事ができて、私のような素人には大変勉強になった。
最後まで読めば、島国育ちの日本人にはともすると苦手な多原理重層同時存在のグローバル・イシューへの、幾つかの提言(と本音)を絶妙な間合いで知ることができるいい本である。