7歳のEvan Treborn少年は、幼なじみのトミーとケイリーの兄妹、そしてレニーと遊んでいる時に、突然記憶の一部が飛ぶ現象に悩まされていた。備忘録として日記をつけ始めるエヴァン。やがて大学生になった彼はその日記を読み返すうちに時空を越えて、少年の頃の自分に立ち戻ってしまう。抜け落ちた記憶を埋め直す取り組みを始めた途端、エヴァンと幼なじみたちのその後の人生が大きく狂い始めてしまう…。
題名の「バタフライ・エフェクト」とはカオス理論を説明する際にたびたび引き合いに出される、「中国で蝶が羽ばたくとアメリカに竜巻が起こる」というあれです。初期条件の些細な違いが将来の結果に大きな差を生むという意味です。
エヴァンは幼なじみの将来を救うために良かれと思って幾度も過去へと帰るのですが、一人を救ったことで他の誰かの未来を不幸にしてしまいます。あちらを立てればこちらが立たずの繰り返しに、見ている私もじりじりとした焦りを共に味わいました。
人は誰しも、あの時あんなことをしなければ良かった、あの場所でそんなことを言わなければ良かった、という悔悟の念を幾度も味わいながら年齢を重ねていきます。やり直すことが出来るのならば、ぜひともやり直したい。到底かなうはずもないそうした人々の思いを、この映画は実に巧みに衝いてきます。
しかし、やり直しがきかないからこそ人生には、踏みとどまること、踏ん張ることが求められる時が必ずあるのです。踏みとどまらなかったことで生まれる不幸な結果を受け止めずに済ませるためにも。
Evan Treborn青年が果てしないEvent Reborn(再生する出来事)を終えるには、この上なく苦く切ない決断を下す必要がありました。その美しい幕切れに、私は大いに魅せられました。
素晴らしい映画です。