シャンソン歌手として、音楽事務所所長として、そしてエッセイストとして活躍された石井好子さん。
昨年訃報に接したときは、悲しく思いました。『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』をはじめとする一連のエッセイに深く魅了された、多くの読者のひとりとして。
もうあの美味しい料理エッセイを、新たに読むことはできないんだなと残念に思っていたら、なんとこんな素敵な一冊が刊行されているではありませんか!
単行本未収録のエッセイ51篇を収録した、その名も『バタをひとさじ、玉子を3コ』。「オムレツ」の石井好子さんの著書にぴったりのタイトル。「バター」でなくて「バタ」となっているところがミソですよね。
この本、装幀がとってもしゃれているんです。
佐々木美穂さんのイラストがあしらわれた、品の良いかわいい表紙カバー、カバーをはずすとあらわれる本体表紙のモダンでおしゃれなデザインに、フランス語で刷られたタイトル。
目次や本文の字の組み方も、小さくレイアウトされた佐々木美穂さんのシンプルなイラストも、すべて神経がゆきとどいていて、石井好子さんの古き良き時代の香り高いエッセイに、よく似合っています。
それで嬉しくなりながら読み始めたら、収録されたエッセイのどれもが、やっぱり美味しいエッセイで、おなかがぐぅと鳴ってしまうのでした。