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内容は、満遍なくバスクの歴史・政治・文化等々が紹介されている。新書ゆえ紙面も限られるし、何より「入門書」であるのだから、浅く広くで良いと思う。ETAの活動やバスク・ナショナリズムにについて深く知りたい人は、立石博高『スペインにおける国家と地域』を並行して読むと良いかなと。
ただ、本書の文体には癖があって困惑してしまうことがあった。語句の説明がなかったり、因果関係などをはっきり説明しないまま強引に筆を進めている、つまり読み手に配慮のできていない文章だなとの印象を受けた。注意深く読めば読むほど「?」「説明不足じゃん」って箇所が多い。だから星三つです。
この本には、これまで日本であまり知られていなかったバスクに関するエピソードが豊富に含まれており、バスクに関する多面的な知識を得るうえで、一読の価値があるかと思われます。
しかし、これらのエピソードを十分理解するには、基本的なバスク史の知識が必要でしょう。本書の内容を補うという意味で、最新の欧文参考文献や、自著以外の日本語参考文献リストを挙げてあれば、より親切だと思います。
また、基本的事実について誤りが散見されるのは、残念です。例えば、23ページの「ナバラ自治州政府はバスク語を公用語としていない」(バスク語も一部地域で公用語)、98ページの「パイース・バスコ」(この呼称は19世紀以降の呼称。それ以前は「プロビンシアス・バスコンガダス」)など。
本書に引用された断片的なエピソードをつなぎ合わせてバスクの全体像を描く作業は、読者に与えられた課題と言えるのではないでしょうか。
バスクという民族のルーツは未だ明確にわかっていない。バスク語もヨーロッパのどの言語とも似ていない。スペインとフランスにまたがる小さな「地域」からフランシスコ・ザビエル、イグナチウス・ロヨラ、シモン・ボリバルといった、世界に影響を与えた人物を輩出した。地方特殊法(フエロス)によって長く自治を保ってきた。鉄鉱業を中心とする工業化によってスペイン経済の牽引車となった、などバスクの社会とその変遷が手みじかにまとめられている。
もちろんETAがどのように誕生したのかも民族運動の流れの中で解説されている。単純なナショナリズムではなく、社会への不満、資本主義への反発が背景にあるという指摘は示唆に富む。だが、現在のかれらが同じバスク人たちからさえ忌み嫌われていること、その悪行の数々についての記述が足りないように思う。
また筆者のバスクへの思い入れから過大評価と受け取れる表現が多いのが気になる。バスク人の「偉大さ」を強調するための牽強付会が目につくのだ。
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