この作品の全体を通して、原作者を含む様々なキャラによって放たれる「つながり」と言う言葉。言い換えれば、登場キャラの誰もが、自分なりの「孤独」を抱えて、「つながり」を渇望している姿を描くのが、この作品の本質なのかもしれない。孤独故に命の重さを知らず、孤独故に剣の道に惹かれ、孤独故に命の取り合いの時だけに生じる、真の他者との「コネクト」を求めるのだ。そして孤独な彼等が生き延び、各々の「つながり」を見出した時、各々の形で「命の奪い合いの螺旋」から身を引いていく。「つながった」時に、人は自らの価値を見出し、場合によっては「臆する」のだ。そして強靭な武蔵だけが「孤独」を漂流して流れて行く。つまり、彼が求める「天下無双」とは自らが「孤独である事」を正当化できる、唯一無二の称号なのだ。
そして自分を欺いて生きる又八、無音の世界で過ごす小次郎らが、自らの「孤独」を、武蔵のそれと鮮やかに対比させて行く。
ネットや携帯の過剰な普及で、「孤独」である事の意味を見失いつつある我々にとって、やはりこの漫画は深く響く。時代劇でありながら、普遍的なテーマを描きながら、この作品は「今現在」そのものなのではないだろうか、と思う。