本書は、著者が2007年に実施したアンケート調査の結果をもとにして、
「2002年ごろから取り沙汰されるようになった」(p. 81)モンスターペア
レントの実態や、教育現場の声や対応、そして今後の教育のあり方に
ついてまとめた本である。
本書において、著者はまず現場の先生方が実際に体験した理不尽
な要求の性質や親のタイプに応じて、モンスターペアレントを5つの
タイプに分類している。次に、こういったモンスターペアレントが誕生
してきた背景として、地域コミュニティの崩壊や教師への信頼低下、
学校の商品化などを挙げて分析を加えている。そして、こういった
問題を解決するために、対症療法的な手法ではなく、本質的な相互
理解、それに人間力や教師力を上げる根本的な視点が必要であること
を説いている。
いずれも、実際のアンケート調査によって浮き彫りにされた実態で
あるため、現実に即した内容になっているのが特長である。社会
情勢を考慮に入れながらの分析が多いことも特徴の一つである。
また、「モンスターペアレント」と括ることで、保護者からの正当な
主張も出来にくくなっていることもあることや、モンスターペアレント
は俗にいうクレーマーとは異なり、互いの話し合いにより改善へつな
がる可能性もあるという視点も持ち合わせながら主張を展開している。
アンケート調査結果をまとめたものが本書の主たる内容になっている
ため、やや冗長な印象も受けるかもしれないが、モンスターペアレン
トの実態把握のためには欠かせない本であろう。