K.コッホがバウムテストの生みの親であり1952年にドイツ語でこの本を出版した。コッホが1954年に亡くなったことや版権の様々ないきさつがあって日本では英訳「The Tree Test」の翻訳という形で1970年に日本文化科学社から出版された。これがかなり不完全な形での出版だったため(英訳に誤訳が多いことや重要な導入部分(ユングからの影響)やコッホ自身の思想部分が脱落している)、長年ドイツ語からの完全翻訳版が待たれていた。ところが、である。この不完全な翻訳本(それを知らない人々にとっては全く関係なく受け入れられた)が日本の精神科診療や心理臨床に与えたインパクトは大きく、多くの臨床家や研究家により患者やクライアントの心をあぶり出すツールとして重宝され発展してしまった。もちろん本家の完全翻訳本が今後の原典、スタンダードとなるのであろうが、元祖の登場がどの位の存在意義をもつのか冷静になって検討されるべきであろう。翻訳者達の思い入れは相当なものであり、あからさまに鼻をつく大御所の序文と翻訳者の個人的あとがきが添えられたことが大変惜しまれる。値段も高すぎる。