上巻では、フリードリヒ赤髭王とともにヨーロッパにいたパウドリーノが、司教ヨハネの国に向かって旅立つ。彼が語る旅でみたものは・・・。日本人には、デジャブを感じるかもしれない。澁澤龍彦『高丘親王航海記』のアンチポデンス。高丘親王は東から海路で、パウドリーノは西から陸路で、違う宗教でも同じ目的を目指す。エーコと澁澤が同じルーツから取りだしたものは何か。ただ、エーコは最後まで書けたが、澁澤は喉の真珠とともに旅の途中で高丘親王と心中するするしかなかった。
上巻が歴史的事実をもとに展開するのと比べて、下巻は歴史的事実のパウドリーノ的真実をから始まり、あとはめくるめく中世いや博物学の世界へ。
澁龍ファンにはにんまり、荒俣宏ファンもうなずく下巻。こんな楽しみ方をできるのは、日本人の特権です。