はじめに、著者も冒頭で触れていますが、本書の属性はどちらかと言えば専門書や教科書に近いものです。決して「コレを読めば明日からアナタも一流バイヤー!」といった内容のハウツー本ではないということをご確認ください。その上で気になった点を挙げていくと、まず、本書は構成として「新たに商品部の部長に任命された主人公が様々な事を知りながら強力なバイヤーに成長していく」という物語仕立ての体裁を取っています。分かり易さを考慮しての構成でしょうが、本文には会計用語が頻出するなど、内容そのものがある程度の知識を前提としたものであるため、逆に読みにくくしている感があります。加えて、ストーリーのそらぞらしさがそれを一層引き立ててしまっているのが残念です。次に、特に最近の専門書や新書に多く見られる現象ではありますが、誤字や脱字、誤った日本語の使い方などが目立ちます。構成に理解を促すためのある程度の考慮が感じられる分、編集者の至らなさが痛々しく感じられます。以上の点から新書にも関わらず決して読みやすいと言える本ではありません。また、同様の理由から入門書としての要求に堪えうるものでもありません。しかしながら、バイヤーに必要とされる理論や思考法が幅広く紹介されいること、またそれらは要点が比較的よくまとまっていること、そして何より新書サイズであるため携帯が極めて容易であることなどから、確認用のハンドブックとしてなら及第点と言えるのではないでしょうか。