私は英語と中国語が常用される地域に住んでいます。若手学者らしい著者の難しそうな「バイカルチャー」云々というタイトルですが、著者自身の体験に基づくさまざまな例話や図による説明もあって、意外にわかりやすかったです。
バイカルチャーを身につけるにはまず英語の達人になれと説くのかと身構えて読み始めましたが、そうではありません。バイカルチャーの要素を理解することによって、色々な人とのコミュニケーションの中で自分のレベルなりに英語や中国語を磨きながらバイカルチャー度を上げることができる、という希望を本書は与えてくれました。
英語力アップの具体的アドバイスもまとめてありますが、私にとって参考となったのは、随所にちりばめられている著者の体験談から得られるヒントを当地の事情に応用して実践すれば、ここで出会う人たちとのコミュニケーションのレベルを上げ、当地での生活を一層実り豊かにできそう、ということです。また、著者が言うように、当たり前、或いは仕方ないこととして受け入れていた母国日本のあれこれをアウトサイダーとして客観的に見る機会、また、どうせこの国の人間ではないのだから、とぼんやり見過ごしていた当地の風習や生活態度などをあらためて見直す機会を与えられているのだと思うと、漫然と過ごしやすい日常生活に新鮮な風を吹き込んでくれるような気がします。
日本で自分自身や子供の英語学習に取り組んでおられる方々だけでなく、駐在員や留学生として日本を離れて暮らしている方々の現実の仕事や生活、心構えの上で参考になる本であることは間違いありません。