本書はまず第1章で、肥満、パーキンソン病、血友病などの研究を概観しながら、大まかに生命テクノロジーの歴史から現在までを概説する。第2章ではヒトの体のしくみについて、遺伝子や免疫機構などの基本的な知識がコンパクトにまとめられている。以降8章までは各章で1つの病気が取り上げられていく。第3章では貧血、第4章では肥満、第5章では糖尿病、第6章ではガン、第7章では精神分裂病、そして第8章ではアルツハイマー病が取り上げられ、その病気の原因解明がどこまで進んだか、どんな新しい治療薬が開発されているかを解説する。適宜わかりやすいイラストが用いられ、理解を助けてくれる。最終章の9章では「難病に挑むバイオベンチャー」と称してクローン病、エイズ、慢性骨髄性白血病に対する新薬の開発について触れられている。
比較的評価の定まった事実について解説しているので、この領域の書籍の宿命である知識の風化の影響は少ないと思われる。生命テクノロジーに興味のある人から、バイオ関連業種への投資を考えている人まで広くおすすめできる。(別役 匝)
紹介されている疾患分野は、ガンや糖尿病、アルツハイマー病など。疾患の原因遺伝子やたんぱく質などを含めた発症機構を解説したうえで、企業が開発する新薬が狙う標的はどこなのかを、開発のエピソードを交えて述べている。
もともと、一般の投資家に向けた「製薬関連ベンチャーへの投資指南書」の執筆を目的としていたこともあり、解説がわかりやすく丁寧だ。著者の1人である清宮正人氏は、ある外資系製薬会社の学術部門に所属している。
(日経バイオビジネス 2002/01/01 Copyright2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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12 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
隠れた名著,
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レビュー対象商品: バイオ・トゥデイ―見えてきた新薬革命 (単行本)
バイオというと、遺伝子治療とか再生医療とかすごく夢のある話が先行します。しかし、もっと足元で、バイオを応用して、今ある薬の欠点がどのように克服されて、研究者等がどのような想いで新しい薬を開発しているのか、ということを紹介した本はあまりありません(古い薬の開発秘話とかいうのは山ほどあるけれど)。しかし、本書は、遺伝子治療、再生医療が今後どのように医療に応用されていくかということも含めて、バイオが、どのように従来の薬の欠点を克服ししつつあるかということを具体的な薬剤名、具体的な会社名、具体的な研究者名とともに記しています。 筆者が自らが書いた書評を読むとわかるように、筆者はどうやら、バイオテクノロジーアナリストでもなければ、サイエンスライターでもない、どこにでもいる普通の人のようです。とすると、本書は、一井の人が書いた一井の人のための新しい薬説明書となっているようです。だから、解かりやすいのかもしれません。 バイオを応用して薬を開発するときには、DNAチップ、遺伝子解析ソフト、プロテオミクスといった様々な技術を必要とします。しかし、それらの技術が如何に優れていても、その技術を操る人が優れていなければ、優れた薬は生まれません。したがって、薬の開発では、そういう細々とした技術に眼を配るより、実際にどんな薬が生まれたのかというところに眼を配るべきでしょう。しかし、バイオを説明しようとすると、ほとんどの本が、そういう細々とした技術の紹介に走っているような気がします。つまり、木を見て森を見ずなのです。なぜかというと、おそらく、読者がどんな情報を望んでいるかということを著者がわかっていないからだと思います。 この著者は、その点、意識的になのか、それとも自然になのかわかりませんが、我々読者が欲しい情報がどんなものなのかということを十分に理解し、我々がわかりずらいと思う点をきちんと説明してくれています。 プリオン、生物兵器などの影に隠れて目立ちませんが、繁華街の一つ外れの筋にひっそりと佇む知るひとぞ知る隠れた名店のような本だと思いました。知るひとぞ知るではなくて、たくさんの人に読まれるべき本だとは思うのですけどね。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
分裂病のパートはお勧め,
By 石田 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: バイオ・トゥデイ―見えてきた新薬革命 (単行本)
さまざまな病気に対して、これまで考え付かなかったような新しい治療法が続々と開発されているということがよく分かりました。しかし、この本を読んで、私がもっともためになったのは、それぞれの病気を正しく認識できるようになったということです。特に勉強になったのは分裂病についてです。この本を読むまでは、分裂病は、精神や心が病んでいく病気であり、自分の生活態度が悪いことが原因で罹ってしまう病気だと思っていました。つまり、分裂病に罹ってしまうのは、その人自身の責任だと思っていたのです。だから、ある意味、分裂病患者さんのことを自業自得だからしょうがないという感じで軽蔑していました。 しかし、この本を読んで、それは偏見であるとわかりました。
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
バイオに興味のある人、読んでみて,
By
レビュー対象商品: バイオ・トゥデイ―見えてきた新薬革命 (単行本)
「面白い!」が、この本を読んだ最初の感想でした。私は医療関係の仕事に従事していますが、最先端の医薬品開発の状況をあまり知らなかったので、最近の開発されている医薬品について、更に最先端技術を駆使してどのような研究がなされているかについて垣間見ることができ、とても興味深く読むことができました。また、図や例えを用いてうまく説明されており、分子生物学や遺伝学を専門としていない私でもとてもわかりやすく理解できました。「バイオ」とか聞くと難しい印象を持って敬遠してしまう人もいるかもしれないけど、この本は簡単でわかりやすく、でもしっかりと「バイオ」の今を捕らえた本だと思うので、軽い気持ちで読んでいただければいいと思います。また、これからの医療やバイオの最先端技術に興味を持っていただけるのではないかと思いました。
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