N響で長年第一バイオリン奏者として活躍する著者のステージ姿は何百回も拝見している。しかし、失礼ながらこれほど面白い文章をお書きになる方とは、全然想像していなかった。音楽的才能と文才。天は時に二物を与える。
N響になじみ深い人は勿論、オーケストラが大好きな人なら、自分で楽器を演奏する人も、そうでない人も、面白くてたまらない。
ユーモアたっぷりの文章ながら、「プロ」の「演奏者」でなければ、決して書けない話が満載されており、読み終えるのがもったいない。
プレリュード(前書き)に書かれた、ウォルフガング・サバリッシュ氏との昨年のリハーサルの様子をはじめ、胸が熱くなるような話、ほろりとさせられる話がある一方で、
「譜読みを楽しむ方法ってある?」の項は抱腹絶倒だ。そうか。プロでも「譜読み」は面倒くさいのか。
しかし、忘れてはいけない。この境地に達するまでに、鶴我さん達、プロの音楽家は、もの凄い努力を続けている事を。