ジャーナリズム専攻の一留学生としてNYのハーレムに住んだ(1962年から)著者の処女作。
世界一の黒人ゲットー,ハーレムとの偶然の出会いが彼女の人生を変えた。彼女は自分を振り返って書く,「…1971年帰国するまで主としてニューヨークに住み,黒人運動に参加するリベラル白人学生と結婚,ハーレムに居を移した。数々のハーレム暴動,ケネディ,キング牧師暗殺,社会主義を信奉する夫の叛信,離婚,そしてブラックパンサーやブラックモスレム等の黒人運動に支えられて,怠惰なニグロから美しいブラックへ変っていったハーレムの人々の姿を,体験とカメラを通じて観つづけてきた」(p.226)。
さらに,「温かくて,底ぬけのお人好し,人なつっこくなまけもののニグロたちは『黒は美しい』と胸をはり,赤い毛沢東語録を片手に,もう一方の手をかたくにぎって空高くこぶしを振りかざす,”ブラック”に変わっていったゲットーの人々の姿に私は魅せられ,ただひたすらに撮り続けた写真は3万枚に及ぶ」と(p.216)。
ハーレムに対する誤解を解くとともに,黒人仲間の人間としての美しさと尊厳を世に知らしめ,アメリカの60年代の人種差別撤廃運動に肉迫した異色のルポルタージュ。