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ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫)
 
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ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界 (ちくま文庫) [文庫]

阿部 謹也
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

《ハーメルンの笛吹き男》伝説はどうして生まれたのか。13世紀ドイツの小さな町で起こったひとつの事件の謎を、当時のハーメルンの人々の生活を手がかりに解明、これまで歴史学が触れてこなかったヨーロッパ中世社会の差別の問題を明らかにし、ヨーロッパ中世の人々の心的構造の核にあるものに迫る。新しい社会史を確立するきっかけとなった記念碑的作品。

登録情報

  • 文庫: 319ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (1988/12)
  • ISBN-10: 4480022724
  • ISBN-13: 978-4480022721
  • 発売日: 1988/12
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (17件のカスタマーレビュー)
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55 人中、50人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 内田裕介 トップ500レビュアー
形式:文庫|Amazonが確認した購入
2006年9月4日、新聞で訃報をみた。

ずっと気になっていたがまだ読んでいなかったので、

訃報をきっかけに手にとって見た。

「ハーメルンの笛吹き」は日本人にもなじみ深いグリム童話である。

  ハーメルンの町にまだら服の男が現れた。ネズミを駆除するという。

  鼠害に悩む町人は男に仕事を頼んだ。

  男が笛を吹くと、ネズミは男の後をついていく。

  そうして川まで誘い出し、男はネズミをおぼれさせた。

  町人はしかし、約束の報酬を払わなかった。

  男は怒って、笛を吹いた。

  130人の子供たちが男の後についていき、忽然と消えた。

この童話は、単なる物語ではない。

1284年6月26日に130人の子供が失踪した、という記録があるそうだ。

そして、ハーメルンの笛吹きの謎解きは、近代にわたるまでずっと

研究者たちの好奇心の的だった。

阿部氏の視点は、しかし、単なる童話の謎解きではない。

この伝説の背景となった中世ドイツの庶民の生活を緻密にあぶりだしていく。

強烈な身分社会、宗教の支配、貧困、被差別賤民・・・。

中世の庶民にのしかかる重圧感がひしひしと伝わってくる。

そのリアリティが凄い。

なぜ130人もの子供が失踪したのか、笛吹き男とはだれだったのか、

謎はまだ当分は解けないだろう、と阿部氏はいう。

しかし本書には、その想像をめぐらせるだけの圧倒的な情報量がある。

自分なりのイメージを膨らませ、謎を考えるのも一興である。

良い本を遺してくれたことを感謝しつつ、冥福をお祈りします。
このレビューは参考になりましたか?
37 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 佐藤さえ トップ500レビュアー
形式:文庫
 『ネズミを退治した笛吹き男に、街の人たちはお礼のお金を払いませんでした。
 次の日、男が吹く笛の音に誘われて、街中の子供達が付いて行き、行方不明になりました。』
 ちいさなころソノシートつきの絵本を見て、
「楽しい音楽に誘われて、子供達はどこにいったんだろうな。」
とあこがれたものでした。

「大人は悪いことをしたから悲しい思いをしてあたりまえだけど、子供達はなんにもしていないんだから素敵な場所に行ったに違いない。」
 と幼いなりに理由をつけて考えていたのでした。
 この本には、子供達の失踪の史実あり、それが伝説になり、それを下敷きにして童話になったと書かれています。
 事件発生当時のハーメルンの市の様子、政治の状態。

 伝説が変化していく際の市の状況や市民達の心理状態。
 また、変化させていく人達の身分や目的などが細かく説明されていて、とても興味深く読みました。
 さて、私が幼いころ感じていたことの答えも載っていました。
「大人の世界で営まれるこうした醜悪な所業の責任をとらされるのは、しばしばいとけない子供たちである。」

「素敵な場所に行ったのではない」
と、伝説を伝えてきた人々ははわかっていたのですね。
 真実が内包されているため、この伝説は今日も印象深く世界的に有名になったのだとも語られています。
 伝説の根拠になった資料や、各研究者の資料などを引用し、現在わかっている事を書いてある本です。

 私は歴史は詳しくないのですが、丁寧な解説ですのでスラスラと面白く読みました。
 歴史、伝説に興味をお持ちの方におすすめです。 

このレビューは参考になりましたか?
24 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 簿記受験生 殿堂入りレビュアー
形式:文庫
まず『グリム童話』に収録される「ハーメルンの笛吹き男」の伝承は事実に基づくことが示される。1284年6月26日ハーメルンの町で130人の子供たちが失踪したことは歴史資料より実証される。核心となる論点は、どうして130人の子供たちが突然いなくなったかということであるはずであるが、これまでに仮説とされてきた「ドイツ人の東方植民説」「子供十字軍説」などが検討されるが、結局、事の真相は著者自身からも提示されない。子供の失踪事件が歴史的過程を経て、全く別の伝承をも吸い上げて、次第に「伝説」として脚色されていく様を追っている。真相は本書を読んでも分からないのだけれども、それを追求する過程でその当時の社会状況や歴史の様々な断面が明らかにされ、歴史研究の面白さが何であるのかが、読んでいるうちに段々と分かってくる実に不思議な本である。
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