最初に掲げれられた言葉「優れた交渉は協働的である」が、この本の内容全てを要約している。
アメリカ流交渉というと、優れたプレゼンや弁論術を使い、あるいは金の力で強引に勝利を目指すものかという先入観があった。そのような心配は杞憂であり、むしろ日本人のほうが良く理解できる内容である。
交渉術とは、勝つことを目標にするのではなく交渉相手と協力すること、一度きりの交渉で付き合いが終わるようなことなく戦略的パートナーシップを構築すること、プレッシャーがある交渉はむしろ個人や組織を成長させること、主にこの3つに集約される。
このような交渉は社外の取引先とだけでなく、社内でも上司と部下、または別の部門との間でも日常的に行われる。対立を解消するために交渉が必要だからだ。
上意下達式の組織文化では目的が達成されず、あらゆる労働者が対等のパートナーとして協力することが求められるように変わりつつある世の中を見据えた、米国流新しい交渉術の数々を参考にしても良いだろう。
本章に先立つ「はじめに」が20頁もあり、そこにエッセンスが凝縮されている。はじめにを読むだけでも価値がある本である。