ラテンフュージョンの第1人者、松岡直也が30数年に渡って手がけたアルバムは非常に多く、それらは「見知らぬ街で」「九月の風」等の名作も多いのだが、いざ自分の好みと比較してしまうと、それらの作品すべてを聴き通す気力はない。その中でこのアルバムは、わたせせいぞう作のアニメに使用されていたということで、ずいぶんと普段の作風からはやわらかい作りになっている。むしろ異色作とも言えるわけであるが、逆に個人的には非常に好感を持てるサウンドに仕上がっている。傑作とは言えないまでも、リラックスして聴けるアルバムとなっている。ただ、私はこのアニメを全く知らないので、ここに登場する題名を見てもさっぱりイメージが湧かないのがつらいところだった。
この中では何と言っても「コスモスアベニュー」がいい。さわやかな春の日差しが目に浮かぶようで、軽いサウンドながらもそのメロディが自然で素晴らしい。当時は未だシンセサイザーが一般的でなく、性能も未熟であったせいか、人工的でコテコテな味付けなのだが、この曲ではむしろプラスに作用している。つい自分勝手な歌詞をつけたくなるような曲調だ。「ジェシィの店」「7頭のトナカイ」「ノックをしなかったサンタクロース」でも同様で、さわやかな曲調が十分に生かされていて気持ちが良い。
このシリーズ第2集でも彼の個性は発揮されているのだが、充実している点では、このアルバムの方を採りたい。