67年発表、ドアーズ衝撃のデビュー・アルバム『ハートに火をつけて』。
サイケの枠組みに入れられることが多いですが、キーボードを主体とした幻想的なサウンドと、
暗く陰鬱なジム・モリソンのボーカルは他のどのバンドとも異なる独特のオーラを放っています。
また、ジム・モリソンの孤独と狂気を反映させた歌詞にも注目です。
“突き抜けるんだ、向こう側まで…!”というフレーズが強烈な攻撃的なナンバー「ブレイク・オン・スルー」。
幻想的なムードと美しいメロディが異彩を放つ「水晶の舟」。 “君に言っておく、俺たちは死ななきゃならないんだ。”カバー曲「アラバマ・ソング」。
キーボード・リフが有名な、ドアーズのテーマ・ソング「ハートに火をつけて」(シングルでは3分弱ですが、これは約7分のロング・バージョン。)
収録曲全てが名曲ですが、その中でも一番強烈なのが11分以上にも及ぶ大曲「ジ・エンド」です。
特に印象的なのが、“The end of nights we tried to die”というフレーズで、訳は“死のうとした夜は終わった。”となっています。
“死んだ”という意味にもとれますが、ジム・モリソンという人物を考えると、
“一晩中死のうとしたが、死に切れず朝を迎えてしまった”という意味なのではないかと私は思います(あくまでも推測ですが)。
また、それよりも気になるのは“tried to die”の主語が“I”ではなく“we”になっている点です。
抑えきれない孤独が歌詞の随所に見られるのに、何故かここでは“we”です。本作中の他の曲にも同様に気になる部分があります。
単にゴロが良かっただけなのかもしれませんが、深い意味があるように思えて、とても考えさせられます。
歌詞・曲ともに、この1stこそドアーズの真の姿が見られる、最高傑作と呼ぶに相応しい作品だと断言できます。
続く2nd『まぼろしの世界』も甲乙付け難いものがあるので、そちらもオススメです。