60年代のミュージック・シーンとカルチャーについて、音楽評論家の立場からではなく、アーティスト本人による半生の自伝として、赤裸々に綴られているところがよかった。
当事者でなければ語れない内容だと思う。
又、訳文がたいへんこなれている上に、ていねいな脚注が随所に付けられていて、読み過ごしてしまいそうなところも、理解が深まる。
特に、詩の訳がよかった。英詩の脚韻を日本語の音として生かし、中には、俳句として訳出されているものもあり、訳者の力量に驚いた。
インド・仏教思想などについての注も、簡潔で分かりやすかった。
最近、TVコマーシャルに60〜70年代の曲がよく使われているが、それが、なぜ今、新鮮に響くのかも分かるような気がした。
戦後の新しい時代を、悩み、苦しみ、挫折しながらも、心の深奥を見つめながら生きようとした若者たちの、魂の求めと叫びが、そこにあるからだろう。