レクター・ハンニバル博士はカニバリズムを伴う反社会的人格障害者だと思われる。博士がそこに至った原因が描かれている。戦時中、逃亡兵たちに妹を食用にされ、自分もまたその肉入りスープを飲まされていたという異常体験が精神に大きな影響を与えたことは間違いないだろう。そして、レディ・ムラサキとの生活。こんなところで何で日本人が出てくるのかよく分らない。日本人という設定は喜んでいいのか、悲しむべきことなのか。西洋人にはエキゾチックな印象を与えるのだろう。
「ハンニバル」ではクレンドラーに自分の脳を食わせるというショッキングな場面が有名になったが、この映画でもショッキングなシーンが目白押しだ。私は、解剖実習用の遺体を保存しているプールの中に逃亡兵の生き残りを入れて溺死させるシーンが最も印象的だった。すぐ隣に浮遊する解剖用死体。犠牲者はこのままでは自分もそうなるという恐怖に慄きながら殺された。背筋の凍るような恐怖だ。なお、解剖用遺体を浮かべる水は保存のためホルマリンを添加してあるはずである。だとすれば、目や喉などの粘膜に激しい疼痛を感じたはずだ。博士の復讐心の激しさを感じさせる。
ストーリーは前作と前後しているが全く違和感はなく、映像も美しく、きれいにまとまっている。良作と言えよう。