なんだか妙にSFが読みたくなった。それでたまたま本屋に並んでいたこの小説を買った。内容もよく見ないで買ったので、「当たり」か「ハズレ」かは読んでからということになったが、これは「当たり」と報告できる。思わず最後まで読んでしまう面白さだった。
SFなので独特の用語や世界観の説明が必要だろう。
この小説では宇宙人のことを「異種属」と称している。小説の時代設定では、人類は宇宙に進出しているものの、強大な科学力を持つ異種属エニュの宇宙秩序に組み込まれ、その顔色をうかがいながら汲々としている存在。
舞台は、その人類がエニュの仲介で移住した宇宙の果てのしょぼくれた植民地、惑星サンパウロだ。
さらに主人公の名前はラモン。ヒスパニックだ。作者は「どうしてSFの主人公はいつも白人なのか。」という問題意識から、ヒスパニックを主人公にしたこのSFを書いたそうだ。小説の母国アメリカでは、ヒスパニックことラテンアメリカ移民は、白人と黒人の中間程度の社会的地位を占めている。いや、すでにオバマ大統領に代表されるように、しかるべき社会的地位を築きあげている黒人に比べると、それ以下の立場なのかもしれない。
こうしてみると、主人公ラモンら人類はヒスパニック。惑星サンパウロはラテンアメリカのどこかの国。異種属エニュは白人またはアメリカ合衆国。という隠れた構図を見てしまうのは、いささか現代の毒にやられすぎているか。
さて小説の内容はというと、ハラハラドキドキのSF冒険活劇だ。どちらかというとSFよりも「活劇」にウェイトがおかれている印象。とにかく先を予測させないストーリー展開はイイ。3分の1読んだあたりから読むのを止められなくなった。
とはいうものの、この本には重大な欠点がある。実はこれハヤカワがよく出してるトールサイズの文庫なのだ。僕の愛用の文庫カバーに入りきらない。
ハヤカワ書房、何考えてるんだよ! 普通の文庫サイズにしろっ! ★一つ減らしてやるっ!!