ちょっとおかしなサブタイトルに惹かれて読んでみた。
しかしやしかし、「フラダンス」と聞いて我々が抱くイメージと
実際の「フラ」がいかにかけ離れているか、フラはハワイの歴史でどのような意味を持つか、
フラの展開に重要な役割を担ったハワイ社会のことなど、
フラに関する広いテーマがどれも非常にわかりやすく解説されている。
その上学術的な視点は失われておらず、フラとハワイのことがとても深く理解できる好著だった(さすが「東大助教授」笑)。
僕は学生のとき文化人類学をほんのちょこっとかじっていたのだけれど、
そのとき勉強したことがここにも通じていてなるほどと思った
――それは、ハワイの「伝統」というものは、決して「純粋なハワイアン」のみが生み出すものではないということだ。
そしてこの本は、「おもしろい」。
それは、ハワイやフラに対する筆者の「愛」からきているのだと思う。
例えば、無名で地味ではあるが、フラを非常に大切に思い、細々とフラ教師を続けてきた女性についての尊敬と共感の語り口。
本書の随所でそのような「愛」をもった語りがみられる。
きっと著者の矢口祐人氏は、本書を書いていたとき楽しくて仕方なかったに違いない。
(本当に彼が「踊って」いたかは別として、)そんな「楽しさ」が読者にも伝染し、
話に惹きこまれ思わず読み通してしまうような「おもしろさ」が、この本にはある。