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8 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すべてはラスト2ページのために,
By A.I. (東京) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ハローサマー、グッドバイ (河出文庫) (文庫)
復刊新訳とのことですが,はじめて読みました.
タイトル,カバー絵,そして諸処の「SF史上屈指の恋愛物語」等の評から,爽やかな一夏の恋のようなものを イメージしておりましたが,そんな単純なものではありませんでした. もちろんメインは甘酸っぱい恋愛模様を描いたもの. ただしそれと平行するように,主人公達が生活する惑星の特徴を表すような物語や,戦争を中心とした 上層階層vs一般市民の軋轢なども精緻に描かれていきます. これらの伏線はすべてラストにつながっていきます. なるほど,SFでなくては語れない結末だし,SFでなくては語れない恋愛でした. 「すごい爽やかな読後感」とは言えないかもしれませんが,非常に面白かったです.
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
“最後の一行”で発動する、鮮やかなどんでん返し,
By
レビュー対象商品: ハローサマー、グッドバイ (河出文庫) (文庫)
政府高官の息子ドローヴは、夏休暇を過ごすために、両親とともに港町パラークシ を訪れ、密かに思いを寄せていた宿屋の娘ブラウンアイズと念願の再会をはたす。 “粘流(グルーム)”――夏の後半に、大陸中央を貫く海を通常よりも 粘り気のある海水が流れる現象――が到来し、隣国との戦争が次第 にパラークシを覆いゆくなか、愛を深めるドローヴとブラウンアイズ。 しかし、壮大な機密計画がふたりを分かち……。 序盤は、ストレートな青春小説といった展開なのですが、中盤 以降、SFらしいスケールの大きな物語へと移行していきます。 終盤まで伏せられている、本作のSF設定については、序盤から再三暗示がなされて おり、十分フェア。“戦争”を利用した政府の機密計画もなかなかよく考えられています。 そしてなにより、周到な伏線によって支えられた、“最後 の一行”における起死回生の大逆転が実に鮮やかです。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
主人公の少年期特有の欠点が作品を補うという逆説,
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レビュー対象商品: ハローサマー、グッドバイ (河出文庫) (文庫)
タイトルと「青春恋愛SFの傑作」という世評から、大甘の内容かとかえって敬遠している方がいるのではないかと思います。
実は私がそうだったのですが、読んでみると、その範疇は崩さないながら決して甘ったるくない作品だと思えました。 主人公である語り手は思春期の入り口に立ったばかりの少年ということで、子供らしいしなやかな感性、利害にとらわれない純粋な目だけでなく、この時期特有の根拠のない優越感と万能感、他人に対する紋切り型の評価など、欠点も数多く持っています。 大の大人がこの少年に感情移入することを作者が要求しているとは思えません。むしろ、客観視点ではありきたりの大甘になる話を、少年の一人称によってうまくコントロールしているといえます。 類型的、寓話的な登場人物たちも、この少年の目がフィルターになって描かれたとすれば納得できますし、可愛さとたっぷりの愛情しか持たず大きな活躍をしないヒロインも、少年の初恋相手としては当然の選択肢でしょう。 少年が親を疎み恋に夢中になることで、本来敏感なはずの年齢でありながらなぜ社会情勢に気づかなかったのかの理由付けも成り立っています。非常にうまい語り口だと思います。 ラストシーンも、この世界、この設定、この少年ならでは生きるものになっていて、なるほど傑作でした。
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