小さな少女をヒロインに、「本当の愛とは何か」を主題とし、
直接的な残酷描写や性描写が一切ないところがいっそ怖ろしい、
到底子供向けとは思えない映画。です。
作品「くるみ割り『人形』」の表現媒体として「ストップモーションアニメ」という
『人形』を用いた手法を選び、作中に『人形劇中の人形』を登場させるというシュールさ、
冒頭に唐突に挿入される「ジャンカリン」なる謎の男の怖いエピソード、
ヒロインに関わる、彼とよく似た(つまり不気味な)幾人ものおじさんたち………
大人になった今でも「ひい〜」と悲鳴を上げながら鑑賞してしまいます。
子供心にはジャンカリンのエピソードが怖かった。本当に怖かった。
しかし怖いだけでなく、人形ならではの美しさや楽しさも表現されているところが
ゆたかな映画です。
昔の子供向けアニメーションらしく、唐突にシナリオが転換(展開ではない)したり、
歌が入ったり、今や通じようの無いパロディが入ったり、
生身の人間を用いたバレエシーンが入ったりと、
一見蛇足ともと思われる編集が為されていますが、
広義にはこれら全てが統一感を持って『人形』を強調するような作りになっており、
私は気になりませんでした。
それよりも気になるのは「真実の愛」を知ったその後のこと……
愛しているのは人形か、人形の形代となった人間の男の方なのか……
何度観ても納得がいきません。
ともあれ、夜更かしのお子様には最適です! これを観せた後で
「早く寝ないとジャンカリンが来るぞ!」
と叫べば一も二もなく布団に飛び込みます。
うっかり幼少期にこれを観てしまったせいで、
15年間トラウマを抱えた私が言うんだから確かです(笑)