77年の3rd。フランスのピンクフロイドと呼ばれたりもする、フランスのプログレで特に有名なバンドの1つだが、テクニックとかではなく、ゆったり流れる雰囲気・空気感で魅せる作風なので、知名度・評価の高さの割には好き嫌いが大きく分かれそうに思う。雰囲気に入り込めないと「眠い」「退屈」とか思いかねない…が、波長が合えば中毒。静かな書斎にしっかり腰を落ち着けて誰にも邪魔されず聞きたい…そんな風にも思う作品。憂鬱、穏やかで美しいが、フッと魔がさして狂気に憑かれてしまいそうな不気味さ。前作までのSF風味みたいなものはあまり感じられず、音に文学性のようなものがグッと増した気がする。A面B面で分けているがアルバム1枚で1曲、39分の大作。シンセ、メロトロン、オルガン等の生む薄暗い音響空間に飲まれ、そこからそっと零れ落ちる儚いボーカル、アコギ、ピアノ、フルート等に胸打たれる。ドラムが絶妙のアクセント。歌詞は英語。
第一部、童謡を歌う少女の声とともに物語は幕を開け、第2部はもの悲しいメロトロンと、郷愁に満ちたアコギが行き交う序盤があまりに美しい…が、シンセやギターが重たい雲のようにジリジリ広がってきて、邪悪に渦巻くカオスへ。第3部はピアノやアコギに彩られ感傷的なボーカルが響く。触れるだけで壊れてしまいそうだが、後半は情念が迸るギターソロが駆け出す。第4部は荘厳でシリアス、不安げなボーカルが嘆き高まる。第5部は不気味な冒頭だが、断ち切るアコギ、憂いに満ちたチェロやフルートとともに切ないボーカルが胸を揺さぶる。第6部はギターが熱く昇りつめて始まる。優美なボーカルはフルート、力強いギター、シンセ等に支えられ雄大に高揚していく。第7部はクラシカルで気品漂う小品。第8部は突然慌しく暴れだすが、第9部でオペラのような歌声がぼんやり響く静謐なエンディングを迎える。