この作品を楽しむには、サブカルについて深い造詣と素養が不可欠です。
恐らく、リア充の方々が読んでも全く面白くないと思います。
そういった(社会的にも、生存維持のためにも何の役に立たない)無駄な
知識を豊富にお持ちの方の手に取られることで、この作品は黄金の輝きを
得るのだと思います。
沙村広明氏は、漫画作品を執筆されるかたわら、ものすごい勢いでサブカル
ネタを吸収されているのでしょう。その引き出しの多さには完璧に脱帽させ
られます。サブカルネタを盛り込んだ漫画としては「さよなら絶望先生」が
メジャーですが、いろいろな意味でよりずっと "オトナ"向けです。
そういったネタを持ち味にしつつ、この作品はしっかりとしたストーリーが
あり、広げた大風呂敷をきちんとたたんで終わります。そのため、読後感も
すっきりです。
この作品には、多くの○○シーンや○○○シーンが登場しますが、不思議な
ことに生理的嫌悪感を生じることがありません。もしかしたら、主人公である
化野氏が、ヒモ属性でありながら性的な部分について徹底してストイックで
あることが、ある種の清涼感を感じさせているのかもしれません。
秋の夜長とお供として、(ごく一部の方々に)全力で薦められる作品です。