本作は初めて上下巻がある原作の味わいを殺さずに、見事に映画的な場面の連続です。冒頭の“闇の印”登場での騒然とした場面は、まさにテロ発生後のイメージを抱かせますし、まず小説で描けないのはドラゴンとの対決場面です。原作では意外にすんなり金の卵をゲットしますが、映画では大迫力のチェイスがあります。大迷路のシーンもスケールの大きい映像で、緊迫感に満ちています。ですが何より、各魔法学校の描き方に工夫があり魅力的です。特徴的な制服姿や彼らが乗ってくる魔法の船や馬車など、ファンタジーが好きな人には本当にわくわくさせられます。登場人物も多彩で、今までで最も自然な配役だと思います。特にマッド・アイは複雑で奇妙な役柄ですから、非情に難しい人選だったと思いますが、誰もが共感できるスタイルでした。魔法大会と対照的にヴォルデモートとの対決は、絶望的でやるせない場面なのに、暖かみと希望が感じられるラストに仕上がっています。お見逃しなく。