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ハリガネムシ
 
 

ハリガネムシ [単行本]

吉村 萬壱
5つ星のうち 2.8  レビューをすべて見る (56件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

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   吉村萬壱はデビュー作『クチュクチュバーン』において、個体としての人間が他の生命や物質と同化・変態し、巨大な集合体の中に溶け込んでいくプロセスを通して、人類進化の壮大なビジョンを初期筒井康隆の作品世界を彷彿(ほうふつ)とさせるグロテスクかつドタバタふう筆致によって描き上げた。芥川賞受賞作『ハリガネムシ』において、吉村は物語の舞台を近未来から現代(1980年代後半)へ移すとともに、前作において顕著だった暴力と破壊のテーマをさらに発展させ、それらをひとりの人間の内に発する過剰な欲望のありようとしてリアルに表現することに成功している。

   物語の主人公は、高校で倫理を教える25歳の平凡な教師中岡慎一。アパートで独り暮らしをする慎一の前に、半年前に知り合った23歳のソープ嬢サチコが現れる。サチコは慎一のアパートに入り浸り、昼間は遊び歩き、夜は情交と酒盛りの日々を送る。サチコの夫は刑務所に服役中で、ふたりの子どもは施設に預けたままだが、詳しい事情は明らかでない。慎一はサチコを伴い車で四国に旅立つが、幼稚な言葉を使い、見境なくはしゃぎまわり体を売るサチコへの欲情と嫌悪が入り交じった複雑な感情は、慎一の中で次第に暴力・殺人願望へと変容していく。慎一は、自身の中に潜在する破壊への思いを、カマキリに寄生するハリガネムシの姿に重ね合わせる。

   カマキリの尻から悶(もだ)え出る真っ黒いハリガネムシ、風呂屋の洗い場でロゼワイン色の血尿を放つ男、奇っ怪な叫び声をあげる登場人物など、グロテスクな人物や不穏なイメージに彩られた本作は、すべての読者に平等に支持されるものではないかもしれない。しかし、人間の内に発する欲望や衝動をありのままに記述していこうとする吉村の作家としての姿勢は実直なものであり、倫理的であるとさえいえる。

   人間の本性として備わる「欲望」の本質に鋭く迫った問題作である。(榎本正樹)

商品の説明

第129回(平成15年度上半期) 芥川賞受賞

登録情報

  • 単行本: 137ページ
  • 出版社: 文藝春秋 (2003/08)
  • ISBN-10: 4163223401
  • ISBN-13: 978-4163223407
  • 発売日: 2003/08
  • 商品の寸法: 19 x 13.2 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 2.8  レビューをすべて見る (56件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 391,763位 (本のベストセラーを見る)
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 単なるエログロではない人間描写, 2006/9/16
レビュー対象商品: ハリガネムシ (文春文庫) (文庫)
悪を描ききった作品。

との帯だが個人的にはそうは思わなかった。

単純に「人間」を正直に描いた結果が、悪に写るのではないか。

第129回芥川賞を受賞とのコトだが、芥川賞らしい作品と言うべきか。

内容は、

「ハリガネムシ」「岬行」の二作品からなるが、

やはり強烈な印象を残すのは「ハリガネムシ」の方。

教師である主人公は、ソープランドで知り合ったサチコと、

ほぼ済し崩し的に同棲生活を始め、徐々に異常性を増していく。

次第にエスカレートする暴力への衝動は、

自殺未遂の手首の傷に自ら指をもぐらせ、穴をうがつ、といった行動に発展する。

主人公はじめ、登場人物の異常性のみが目立つように感じるが、

なぜかそれが自然の行為のように感じてしまう。

それは単なる「悪」ではなく、人間の根本的な欲求や行動を描いているからかもしれない。

正直、気分が悪くなる小説ではあるが、

単なるエログロとは違う、「人間」というものを考えさせられる作品。

個人的に読んで良かった作品だと思う。
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10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 かなり気持ち悪い, 2003/9/16
レビュー対象商品: ハリガネムシ (単行本)
芥川賞を受賞した作品だということで読んでみましたが、SMや性的倒錯の好きな人でなければ、かなり気持ちが悪くなると思います。短い本なので、すぐに読めるという点ではいいのですが、知性のかけらも見られない、子供じみた男女の、暴力や性を通じた関係を描くことで、何か文学的に素晴らしいものがあるのかどうか、疑問に思いました。
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20 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 言いたい事は腐るほど・・・, 2003/9/6
レビュー対象商品: ハリガネムシ (単行本)
~それでも例年の芥川賞作品よりは面白いのかしれませんが、少なくとも僕には衝撃的につまらなく感じられました。というか何一つ意味がない。何のためにこれを書いて、読者である俺に何を感じさせようとしていて、どんな意識をを変革させようとしているのか。もうイヤになるほど分からない。もうこれ芥川賞なんてない方がいいですね。もし仮に芥川賞が純文学の~~最高権威なら、もう純文学すら淘汰されるべき存在です。それらしいテーマがあって、妙にリアリティのないエロスがあって、日常には絶対ありえないくだらないサイレント・マジョリティの声をさも現代の一断片のように取り上げさえすれば、あとは上辺だけ、小手先だけで賞は取れる。(もちろん僕には絶対に無理です)
~~
本に意味なんて求めるな、本なんて面白ければ良いという反論がもしあるなら、せめてもう少し面白く書いてもらいたいものです。SFを読んでいるようなどうにもならない違和感は、結局最後まで拭えませんでした。意味がない。ハリガネを最後まで読み切って、思い浮かんだのはその言葉だけでした。~
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