日本ではアイドルとして鳴らした田村英里子が、スピルバーグ監督の映画に出たいという子どもの頃からの夢に向かって2000年に単身渡米。大ヒットドラマ『HEROES/ヒーローズ』でヒロ・ナカムラの恋人役に抜擢され、一番近いところではハリウッド大作『ドラゴンボール エボリューション』でも大きな役をつかむまでのおよそ7年を振り返った一冊です。
7年という歳月をわずか150頁で綴るので、かなり端折った感じがします。英語も満足に話せず、アメリカの芸能界での実績がゼロである彼女が大役をつかむまでに味わった苦労や屈辱にまつわるエピソードはもちろんいくつか記されていますが、それでも紙幅が限られているせいか描き方は断片的なこぼれ話の積み重ねであるような印象を与えるもので、意外とあっさりしている気がしました。彼女は演じるのが専門で、筆を持つのは専門外ですから、それも致し方ないところかもしれません。
しかしそれでも映画好きな私としては、アメリカで俳優が役をつかむまでのプロセスには想像を超えたシステムがあり、そのプロセスの最後までなんとかたどりつくために彼女を含め若い俳優たちが様々な手練手管を使っていく様子に大きな関心を持ちました。
無名の俳優たちは自主制作映画にあえてノーギャラで出演してその作品を自分のプロモ素材とするだとか、オーディションでは訊かれても自分の実年齢は絶対に言わないとか、テレビや映画俳優としてやっていくために必要なエージェントはなかなか見つからないので、モデルやCM俳優のエージェントから見つけていくとか、CMにも再放送料金が入るのでフォルクス・ワーゲンのような大手自動車メーカーのCMに出ると結構な収入になることだとか、知らなかった事柄がたくさん紹介されています。
田村英里子という俳優に興味がなくても映画好きなら興味深く読むことが出来るのではないでしょうか。