島荘作品としては、いろいろと批判が多いものである。
でも、私は好きだ。
なんで著者がこんな猟奇的な設定にしたのか、ということを理解すればよい。
ストーリーは他の人たちが書いている通りだ。
舞台はアメリカ、登場人物も当然アメリカ人が中心となる。
だから、御手洗は今回は一歩引いている。
でも、それは本作では必然のことなのだ。
そして、本作のテーマはけっして“狂気”ではない。
現代ではこれを異常とは認識しないはずだ。
確かにアブノーマルで猟奇的な描写はある。
しかし、「占星術〜」や「眩暈」の著者なんだから、それが本作では必要なことだというのは、島荘作品を読んできた読者には分かるだろう。
続編が刊行されないかぎり、島荘ワールドの中で本作が徒花の立場を覆すことはないと思われる。
だが私には、本作で島荘がやりたかったことが良く分かる。
またひとつステップを上がった、というイメージである。
どうか剛腕島田氏には、続編の早期の刊行を期待したい。
その際には、本作以上の猟奇性を願う。
やはり、レオナには猟奇が似合う。
「暗闇坂〜」みたいに。
また、本作の価値とレオナ個人に対する好き嫌いとは別物である。
どんなにレオナのイメージが悪かろうが、本作は島荘作品の中で孤高の位置を占める、まごうかたなき傑作である。