「複雑さを生きる」で人間を人間たらしめているコミュニケーションにハラスメントという危険な契機が潜むことを指摘した安冨氏。今回は自然科学者の本條氏との共著で心理学からの光を当てることでハラスメントの科学を展開している。一部子供っぽい例示もあるが全体としては十分に説得力のあるロジックになっている。
昨今企業ではコンプライアンスの要請から行動規範遵守のため右に倣えの研修が盛んだ。業界や社内の掟が法律より優先された時代は過去のもの。しかし外部規範という型にはめること自体がハラスメントの契機を有することに気付かされる。学校のいじめを解決しようと教員管理を厳しくするのも同じ間違い。コミュニケーションはフィードバックが大事だというドラッカーが魂の脱植民地化というハラスメントとの戦いを説いていたのだとは。