08年から09年に掛けて連載されていた分に描き下ろしを加えた全二十篇の作品です.
私鉄沿線にある小さな町,そこに暮らす人たちの何気ない日常を切り取った物語で,
具体的なストーリであったり,彼らの背景や関係が細かく語られる事はないのですが,
会話や暮らしを覗いているうちに,少しずつ物語に膨らみを感じるようになってきます.
また,別の話に出ていた人がこちらではその他大勢として町の中に紛れているなど,
小さな『繋がり』が,一つの町での物語という事をさりげなく印象づけているようで,
ハッキリと『終わり』が描かれていないのに,どこが一区切りがついたような最終話も,
少し切なくもほっとさせられ,その後の色々を想像してしまう心地のよい余韻が残ります.
丁寧で暖かみのある絵柄,耳(?)に残る特徴的な擬音とこの漫画家さんの魅力は充分.
ノンシリーズという事もあって,初めての方にもお薦めしやすい1冊ではないでしょうか.