ローレンス・オリビエの名演ばかりクローズ・アップされることの多いこの映画ですが、実は、音楽の素晴らしさも特筆ものなのです。
冒頭、ドラマティックに鳴り響く重厚なテーマ曲は、ブリテンと並ぶ、近代イギリスの代表的作曲家ウィリアム・ウォルトンの傑作。クラシックの名曲に加えたいほどの出来栄えです。
(このテーマ曲はラストシーンでも効果的に使われます)
オケのレベルも一般的な映画のそれをはるかに超えていて、特に、ブラス・セクションの見事さには息を呑みます。劇中でトランペットのファンファーレが鳴り響く度にぞくっときますよ。
最高のオケが奏でる最高の音。そこにオリビエのしびれる声がアリアのように重なって…そう、この「ハムレット」は映画というよりむしろオペラ。
激情をぶつけあう俳優たちの声は、二重唱、三重唱となって火花を散らし、剣戟の金属音も、打ち鳴らされる大砲の音も、ある種の楽器として音楽に見事に参加しています。
それにしてもローレンス・オリビエの声の凄さときたら。
ダイナミックでしかも艶っぽくて。
この声が彼を不世出の舞台俳優にしたのだと再認識させられます。
彼の全盛期の声が最高の形で記録され、手頃な値段で気軽に楽しめることを感謝せずにはいられません。