中井組映画作品は、個人的には「カフーを待ちわびて」の方が好きだが、本作も沖縄の裏面史をダーク&ワイルドに描いており、刺激的なシャシンだ。1960年代のコザは沖縄では再現できなかったらしく、ほぼタイロケーションで撮影されているのも凄い。これが何の違和感もなく沖縄に見えるから不思議だ。結果的に録音環境が悪かったのだろう、全てアフレコとなり、一昔前の日本映画のような出来栄えとなった(誉めてます)。俳優陣も尚玄、虎牙光輝の兄弟役が迫力十分だったが、肝っ玉かあさん的な石田えりの存在感が忘れがたい。それと何といっても宮崎あおいだ。本作は2006年製作だから、大河ドラマ以前の出演作だが、それでもすでに蒼井優と共に若手女優ツートップ評価を受けていた頃だ。いくらでもオファーがあるだろうに、こういう作品に取り組む姿勢が素晴らしい。この後も「闇の子供たち」なんかにも出ているしね。全編ギラギラした汗臭い劇中で、宮崎が登場するだけで画面が「パッ」と明るくなるのは、本作唯一の「救い」だろう。宮崎は中井監督とTVドラマ「ノースポイント」(こちらの舞台は北海道!)でも組んでいるから、やりやすかったのでは。特典映像は2007年東京国際映画祭の風景と、その際に上映されたメイキングがそのまま収録されている。もう少しインタビューとかも欲しかったなあ。中井監督は長澤組や行定組とも近い関係にあるので、これからも良作を観る機会があるだろう。星3つ。