Depeche Mode、Tears for Fearsなどに影響を受けたというHURTS。
正統派かつ耽美的なシンセポップを奏でる、注目の新人デュオ。
最初はCMで一瞬耳にしただけだったが、無性に胸騒ぎがした。
アルバムは、新人とは思えない完成度の高さで、捨て曲が一切ない。
もう50回以上聴いているが、どんどんその世界に引き込まれていくばかりだ。
後半は、ぐんとトーンダウンしてダークさが増すので、
初めのうちは盛り上がりに欠けるような印象を受けていたが、
歌詞も含めてしっかりと聴きこんでいけばいくほど、味が出てくる。
今では、一曲たりともスキップしたりはしない。できない。
すべてを聴いて、初めて彼らの描いた世界が完成するからだ。
Adamのメロディセンスは、すでに超越的とも言える美しさ。
「Better than love」のようにキャッチーな80'sテイストの曲から、
「Blood, Tears & Gold」「Stay」のようにみずみずしさ溢れる曲、
「The Water」のように叙情詩的な雰囲気の曲まで幅広く、
これからさらにどのような方向性が出てくるか、非常に楽しみだ。
そのメロディに乗せたTheoの透明感に満ちた伸びやかなヴォーカル。
曲によって、声色や歌い方を変えられるのも魅力のひとつ。
透き通るような高音から、身体の芯に響いてくる低音まで歌いこなす。
さらに、このルックスが加わって、一作目から完璧な世界観。
PVの構成も本人たちのアイディアが存分に生かされているそうだが、
芸術の域に達したシュールさ、奥深さがあり、ヨーロッパで特に評価が高い。
一日中リピートで聴き続けたところ、脳も身体も興奮状態に陥ってしまい、
全然眠りにつけないほどだったが、それでも聴かずにいられない中毒性がある。
Daggersというバンドを組んでいた経験があるため、まったくの新人ではないが、
ここまで完成度の高いデビューアルバムを出せるとは、いい意味で末がおそろしい。
30代も半ばにさしかかり、なかなか昔のように夢中になれる作品がなかったが、
HURTSによって、しばらく眠っていた音楽に対する感性が呼び覚まされた気がする。