「極大射程」からはじまったスワガーシリーズ。親父のアール・スワガーを主人公とする作品となってから「悪徳の都」「最も危険な場所」に続き本書が3作目。今度はキューバ革命前夜のハバナでのスワガーの活躍の話であるが、作品を重ねるにつれ、このシリーズの魅力が薄れつつあるように思えてならない。
私自身の冒険小説オール・タイム・ベストの一つと考えている「極大射程」とそれにつづく息子の方のボブ・リー・スワガーを描いた4部作は、超人的な主人公の活躍も素晴らしいが、ベトナム戦争・父親の死のトラウマ、そして家族愛など、筋立てに深みがあった。親父のシリーズも面白いことは面白いが、息子のシリーズに比べ、勧善懲悪のカタルシスも、心理・背景描写の深みも、以前と比べ今ひとつに思える。主人公が何故、キューバでこのようなことを行うのかという切実さもない。
もちろん、他の凡百の冒険小説に比べると読む価値は十分にあると思うが、あのハンターの作品にしては読後感が薄いというのが正直な感想。