ずっと待っていた五巻が出ました。元ヤンで鶏冠頭の若手落語家、笑酔亭梅駆こと星祭竜二が日常の謎をといていた第一巻から話はどんどん遠くなり、爆笑とバイオレンスに彩られた修行道中が描かれるなか、今回は何と偶然の一発ギャグがあたって、竜二は売れっ子タレントになってしまいます。
ギャグを認めない師匠からは落語を禁じられるは、兄弟子からはギャグの盗用で訴えられるは、突如出現した小学生の「兄弟子」から落語対決を挑まれるは、さんざんな目にあう後半からラストにかけての盛り上がりの勢いは凄いです。
落語の芸を正面から取り上げるシリーズではありませんが、一章ずつが落語家という食えない人種を描いた濃いドラマになっていて、それぞれに落語的オチがつくのが巧く(「堀川」「上燗屋」「二番煎じ」「狸の化け寺」など章題も噺をテーマにしています)、ことに「花筏」の章で、どっきりカメラに翻弄される竜二のどんでん返しがたまりません。
そして今回も見所は、酔いどれ師匠梅寿のあいかわらずの暴君ぶりと、その裏に隠された優しさのコントラスト。このシリーズ読んでほんとうによかった、と思えたのは最終章、落語家としての絶体絶命の危地に立たされた竜二を、谷底にさらに蹴落とすかに見える師匠の叱咤が一転・・・・泣けました。
芸ってこれやねん! 思わず自分も関西弁になって膝をたたいてしまいました。
全体を通じて、竜二の両親を名のってあらわれる詐欺師たちが話の伏線となってゆくのも目を離せないところ。
シリーズいよいよ絶好調です。