読んでいる最中も、そして読了してからも思ったことは、
感嘆と同時に「何でもっと早く読まなかったのか」という自問であった。
それは「児童文学」の傑作でしょと「所詮児童文学」だという<みくびり>が
自分のなかにあったからだと思う。
しかし、これは読んだ者だけがわかることだが、
手に汗握る冒険物語にとどまらず、これは人間の「自由」について問う人類の大傑作である。
この本は一度読んだらもう捨ててもよいという本のたぐいには入らない。
私は、この岩波文庫本上下巻のどちらかを、
ウィスキー・フラスコを旅に持っていくように、
いろいろな旅に携えていきたいと思っている。
訳文も、ハック自身が言うところの「下等」ぶりの口調が素晴らしい。
また忘れてならないのは、Edward Winsor Kembleの挿絵も本当に素晴らしい。
オトナ顔負けの「仕事(task)」をなんなくやってのけるハックの
アンファンテリブルぶりは、ケンブルでなければ描けなかったのではあるまいか。
訳者による巻末解説で、このKembleの挿絵の貢献について一言も言及がなかったのが残念である。
とにかく、
ハックルベリーフィンは私の心の永遠の友人となった。