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ハックルベリー・フィンのアメリカ―「自由」はどこにあるか (中公新書)
 
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ハックルベリー・フィンのアメリカ―「自由」はどこにあるか (中公新書) [新書]

亀井 俊介
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ヘミングウェイが語ったように、アメリカ近代文学は、すべてマーク・トウェインに始まる。自然児から文明人になってしまうトム・ソーヤと、あくまで「自由」を求めるハックルベリー・フィン。これこそ「自然」と「文明」の間で揺れ続けるアメリカ社会の根源的かつ矛盾した欲求の原型である。本書はアメリカ文化のなかで姿を変えて生き続けるハック・フィンの系譜をたどり、アメリカ文化とは何かを探るものである。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

亀井 俊介
1932(昭和7)年、岐阜県生まれ。55年、東京大学文学部英文科卒業、同大学大学院に進み比較文学・比較文化を専攻、文学博士。アメリカ留学後、東京大学教養学部助教授を経て、同大学教授。93年に定年退官後、東京女子大学教授を経て、岐阜女子大学教授、東京大学名誉教授。著書に『近代文学におけるホイットマンの運命』(研究社、1970年。日本学士院賞受賞)、『サーカスが来た!』(東京大学出版会、1976年。日本エッセイストクラブ賞受賞)、『アメリカン・ヒーローの系譜』(研究社、1994年。大佛次郎賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 195ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2009/05)
  • ISBN-10: 4121020022
  • ISBN-13: 978-4121020024
  • 発売日: 2009/05
  • 商品の寸法: 17 x 11 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 荒野の狼 トップ500レビュアー
形式:新書
マーク・トウェインの作品である“ハックルベリー・フィンの冒険”を中心にアメリカの文学史を解説した書。人間は自己のあるべき姿を見出しえないでいる宙ぶらりんの(サスペンス)状態で生きている。ハックは自然志向(精神の縛られない自由を求める姿勢)と文明志向(親友のトム・ソーヤーに代表される)との間に揺れながら自分のあるべき生(本当の自分、自己)を追い求めます。つまりハックは、アメリカの人間がどうあるべきかというトウェインが考えた結果の人物像です。この本では“奴隷のジムは持主のもとに戻るべきである”という当時の社会の常識に基づいた“良心”より、“良心”に背き“地獄へ行く”決意をしてジムの救出に乗り出すことで、ハックは自分の中の最も重要な価値をつかみ、存在の自由を自分のものにしたとしています。また、この自分の自由な存在を探求するプロセス自体が結果より重要で、プロセスそのものが“生”の証明であるとします。この本で他に取り上げられる作家はクーパー、ソロー、メルヴィル、ヘミングウェイ、フォークナー、サリンジャー、カポーテー、ベローらで、それぞれの作家とハックとの共通点が描かれます。おそらく多くのハックの読者は10代の時にこの本を読み、トウェインが込めた深い意味合いの充分な理解にはいたらなかったであろうと思われます。そうした意味で、ハックを既に読んだ読者にも未読の人にも勧められる一冊です。また、トウェインの未完の作品、“インデアンの中のトムとハック”などについても触れられており、ファンには必読の書になっています。ただし、作者自身も触れているようにトウェインはクーパーには批判的で、クーパーのインデアンの理想像の完全な否定が“インデアンの中のハックとトム”でされているので、クーパーとハックを同列に並べるのは疑問ですし、高貴なインデアンの理想像を抱いて旅にでる決心をしたのはハックではなくトムであるなどの誤記がある点は指摘しなくてはなりません。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ヒデボン VINE™ メンバー
形式:新書
 「ヘミングウェイが語ったように、アメリカ近代文学はすべてマーク・トウェインに始まる」とあるが果たしてそうだろうか。自然児から文明人になってしまうトム・ソーヤ−と、あくまで自由を求めるハックルベリー・フィン。これこそが自然と文明の間で揺れ続けるアメリカ社会の根源的かつ矛盾した欲求の原型である、とカバー見返しにはあるが、こちらのほうも果たしてそうだろうか。

 近代アメリカ文学が「すべて」マーク・トウェインに始まるというが、どうだろうか。WASPが社会を支配し、西部劇的なフロンティア・スピリッツを追い求める活劇世界が横行していた世の中であれば、確かにそうであった(かもしれない)。また1960年代までの、いまだ黒人差別社会を必要悪として受け止めていた時代であれば、そうであった(かもしれない)。具体的にはケルアックの「オン・ザ・ロード」の頃まではそうであった。しかし、WASPの時代から、黒人とか、ユダヤ人、ヒスパニック、エイジアン等々が資本的にも文化的にも台頭してくると、話は違ってきたんじゃないか。サリンジャーとか今最も脂の乗り切っているポール・オースターが出てきたように・・・・・。

 マーク・トウェインは晩年、極めてペシミスティックになり、「人間とは何か」とか「不思議な少年」を書いているが、これらの作品は、文明批判の鋭い視点から書かれている。これらの作品についての言及が一言もないのは少々残念である。むしろこれらの作品のほうが、現在のアメリカ文学に繋がっているのじゃないだろうか。
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自由と逃亡 2010/4/11
By 志村真幸 トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
 『ハックルベリー・フィンは、いま』(1985年)の続編に当たるような作品である。いま改めて論じなおしてみたら、といったところか。
 マーク・トウェインの最高傑作とされる『ハックルベリー・フィンの冒険』は、都市と辺境、文明と野生というアメリカの本質的な対立を見事に描いた作品とされる。これをアメリカ文学史に置いて、もう一度位置付けなおしたのが本書なのである。まず、先行するクーパーやメルヴィルと比較し、さらにハックの再解釈を行い、そしてハック以後のフォークナーやソール・ベローに影響を読みとっていく。
 しかし、いままた取り上げるべき問題なのかというと、そうでもないように感じた。著者のハックへの愛は伝わってくるが、文学研究としてはちょっと。
 アメリカ文学史の初学者にはいい本かも知れない。
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