最近の高校生の生活や心情がかなり上手く表現できているなと感心してしまった。
技術的な面については、一こま一こまに動きがあるのが良かった。絵自体がアニメっぽい動きのある絵だし、丁寧ではないが意外なアングルから描かれているシーンがあったりするので、読んでいて飽きがこない。また、話題がリアルタイムにあっちこっちに飛ぶ感じは、他の漫画にはなかなか見られないが、斬新で面白かった。本筋に関係がない台詞が山のようにあり、やや読みにくい部分もある。しかし、その必要のない台詞こそが高校生活の空気感を演出しているのだろうと思う。
心情の面から見ると、主人公だけでなく、脇役も同じく悩む「人」として描かれていることに感動した。
時々強いことを言うがその裏で悩むみよし、丁寧な話し方をしているが実は三山先輩を冷めた目で見ている美少年、自分の否定的なスタンスに疑問を持ちはじめる三山先輩、勇気が出せず自分に言いわけしていることに気付くハタノさんなど…本当に人を描くのが巧く、どの脇役にも共感できてしまう。みんなが様々悩みを抱えながら、文化祭へ向かっていく。そして、その中でいろんな人が少しずつ勇気を出して、前へ進んでいく。
この漫画には、全てを解決してしまうような超人的な人物は出てこない。いろんな人にできることとできないことがあって、できる部分を羨んだりしている。たしかに、ストーリーとしては平凡かもしれない。しかし、話があくまで現実的であるからこそ、細かな心境の変化を表現できているのだと思う。ハタノさんやみよしが問題にぶつかり、他人とのかかわりの中で自分の考え方を変えていく、その姿に着目して読むと、非常にレベルの高い漫画だと気付く。彼女たちの置かれた立場はいつだって急激に良い方向に向かったりはしていない。彼女たちがその置かれた状況の見方を変えただけなのである。正直、秋野さんとの電話のシーンやハタノさんの生徒会との絡みのシーンは何度かウルっときた。
そして、みよしは悩みながらも「楽しい!」へ向かって進んでいく。「楽しさ」にゴールを設定するあたり、現代の閉塞感に対する解答を作者自身持っているのだろうな、と思えた。考えすぎか。
そんな成長物語でもあるし、みよしが明るくて楽しい漫画でもあるのである。すごい。
RPGのような説明的で不自然な人間が登場する漫画が増えている中で、作者は「人」を描くことのできる稀有な漫画家だと思う。他の作品も読んでみたい。