全米を騒がせたハッカーことケビン・ミトニックを
コンピュータ物理学者の下村努が捕まえるお話です。
この二人による、サイバースペース上でのスリリングな「おっかけっこ」を期待していたのですが、
実際はケビン・ミトニックが育った環境や人柄などを詳しくプロファイリングし、
一連のハッキングの顛末を第三者の立場から書いたドキュメンタリー本です。
下村努が活躍し始めるのは本の後半からで、逮捕劇も比較的あっさりしています。
著者は中立的な立場をしっかりと保っています。
ネット社会の創世記にミトニックはマスメディア(ニューヨークタイムズ)によって
凶悪犯罪人に仕立て上げられているのではないか?と指摘するなど、
シンプルな「善vs悪」のストーリーには落ち着いていません。
しかしながら、著者は映画の脚本も手がけているせいか、
実にテンポ良く話を進めていくので、読んでいて全く退屈しません。
話のネタとして読んでおくのも良いのではないでしょうか。
私にとって印象的だったのは、一見同じ種類の人間に見えるこの二人が
一人は刑務所へ、そしてもう一方は億万長者になったこと。
この違いの原因はどこにあったのかを、本を読みながら考えてみるのも良いかもしれません。