若きハスラー、エディ・フェルスンは、ビリヤードの伝説的名人ミネソタ・ファッツに挑戦し逆転負けされてしまう。酒に溺れたエディは女詩人サラと出会い
同棲を始めるが、悪徳マネージャーと組んで場末のビリヤード場で荒稼ぎするエディに絶望して、自殺。失意のエディは再度ファッツに挑戦する。
1961年作。強烈な印象を残す迫力のビリヤード・シーンで、プロの勝負師の世界を非情なタッチで描いたロバート・ロッセン監督の代表作と言ってよいだろう。重病に冒されていたロッセン監督は、この作品が遺作になることを覚悟して撮影を開始したという。監督の執念が乗り移ったのか、ポール・ニューマンをはじめとした演技陣が見事なアンサンブルを見せる。エディを利用する悪徳マネージャーのバートを演じたジョージ・C・スコットの抜け目の無い狡猾さ、ミネソタ・ファッツを演じたジャッキー・グリースンの場数を踏んだプロならではの優雅さ、足の不自由な
女詩人サラを演じたパイパー・ローリーが夢破れた者としてエディに寄せる一途な愛、そして若さ故の暴走で自滅していく主人公エディを演じたニューマンの絶頂期に相応しい演技。主演陣全員がアカデミー賞にノミネートされる好演を見せた。ニューマンは英国アカデミーの主演男優賞は受賞するが、オスカーを手にするには「ハスラー2」(86年)でアカデミー主演男優賞を取るまで待たねばならなかった。
本作品はアカデミー賞9部門にノミネートされるが、受賞に至ったのは撮影賞のユージン・シェフタンと美術監督のハリー・ホナー、ジーン・キャラハン(装置)だった。
ニューマンはグリースンと共に当時最高のプロ、ウィリー・モスコーニのコーチを受け、プロのハスラーとしてのキューさばきを完璧に身につけて撮影に臨んだという。本作品のビリヤード・シーンの迫力はこうした努力の積み重ねによるものなのだ。尚、モスコーニもウィリーという役名でビリヤード場に顔を出している。