内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)
90年代前半のベスト・ソウル・アルバムの1枚である前作『サンズ・オブ・ソウル』のタイトル通り、トニー・トニー・トニーは“ソウルの申し子たち”と呼ぶにふさわしい存在だ。なにしろこのオークランド出身のトリオは、現在では数少ないセルフ・コンテインド・グループ(歌と演奏の両方を自らこなすグループ)。しかも彼らはR&Bの伝統に敬意を払いつつ、そこに新しい生命を吹き込んでみせる。本誌11月号の特集記事にも書いたように、このトニー・トニー・トニーこそがヒップホップ時代にミュージシャンシップとリアル・ソウルを復興させた、“ニュー・クラシック・ソウル”の先駆者である。
そうしたトニー・トニー・トニーの姿勢は、本作においても変わっていない。たとえば、幕開きを飾るミディアム・バラード(1)は、アル・グリーンに対するオマージュ。つまり音作りはハイ・サウンドで、歌い方もアル・グリーンを真似ている。また、(8)のコーラスはアース・ウインド&ファイアー風だ。もちろん演奏は生音主体で、ギター、ベース、ドラムス、キーボード、それに曲によっては同郷のタワー・オブ・パワーのホーン・セクションも加えて、人肌の温もりをたたえたサウンドを構築している。その一方で(3)にラッパーのDJクイックをゲストに迎え、ヒップホップ世代であることをアピール。また、メンバーの一人ラファエルはディアンジエロの「レディー」のプロデュースを手掛けたことでも知られるが、(2)の妙に艶やかしい、まるで液体のようなリズム・トラックはそのことを想起させる。
R&Bとポップ風味が程良く入り混じった曲が次々にスピーカーから流れてきて、まるで黒人音楽専門ラジオをつけっぱなしにしているような気分にさせてくれる。聴き手を70年代に引き戻してくれるような曲が目につくものの、トニー・トニー・トニーの音楽はカビ臭くなく、ミントの香りがする。そんな青息さがむしろ魅力的に思える新伝承派ソウル、である。 (渡辺亨) --- 1999年01月号
Album Details
Japanese Version Features Exclusive Bonus Track (S).