映画でも音楽でも小説でも、優れた作品というものは、はじまりからしてすでに特別なものを持っているような気がします。
物語の冒頭で父親が入っている棺の中をのぞいた主人公が発したあまりにも意外な一言で、私は一気に映画の中へと引き込まれていきました。
一人の男性の死によって集まった親戚一同、彼らは皆それぞれ悩みを抱えていて、正直、葬式どころではなかった。
それだけならまだしも実は亡くなったハウエルズ家の御主人自身にもとんでもない秘密があって──
次々と起こる問題、悪化していく事態。
ちょっとしたセリフや動きが伏線となって、それらが後半で活きてくる脚本が素晴らしい。
今までいくつもの良い映画に出会ってきましたが、観賞後にここまで優しい気持ちになれた作品は本当に久しぶりです。
死からはじまり葬式を舞台にしたこの物語のテーマはまぎれもなく生であり、
ラストで主人公が読み上げる弔辞をおくられるような人生、それをきっと幸せというのだと思います。