企業には通常、リーダーは育成しなくても、もとから才能をもつ者がラインの中心で実績を積み、競争に勝って頭角を現してくるものだ、という見方がある。しかし著者は、そうした「適者生存」の考え方に対して「生存者が最適者」かという疑問を投げかける。そして、才能と実績をもって社長に上り詰めた人物がわずか9か月で解任された事例を挙げ、過去の「強み」や実績も環境が変わると「弱み」になることを立証する。だから事前に「弱み」を克服する経験を組織がさせておくべきだ、と説くのだ。
ここに際立っているのは、リーダーシップ開発を組織全体の責任とし、事業戦略に結びつけて位置づけている点である。リーダー育成を人事部任せにして、短期の研修やOJTで済ませているような企業は発想の転換を迫られるだろう。また、才能より「経験から学ぶ力」にリーダーの資質をみる点も興味深い。
本書には、さらにリーダー候補にさせる経験の種類、時期、経験の系統立て、目標設定や評価といった、リーダーシップ開発のプランや手法もまとめられている。こうしたリーダー育成法をもたずにいることは、個人の成長の可能性を奪い、戦略上の損失であるという示唆は実に重い。リーダーの不在を嘆く企業は必見である。(棚上 勉)
本書の趣旨は、リーダーシップは学習で開発可能であることと、人材開発を支援する環境づくりは現リーダーの責任であるとともに、それが成功すれば企業に競合優位性が生まれるという事実を理論づけることである。
カギとなるのは「経験」だ。組織内の日常業務しか真のリーダー養成校になり得ないことが強調される。とはいえ単に現場に放置すること、何もせずとも人は育つといった怠慢にすり替えるのでは意味がないと指摘。経験を系統立てて整理し、才能を経験につなげるメカニズムや人材開発を企業戦略に直結させる方法を分かりやすく紹介する。
米国企業の実例も豊富。「脱線する経営幹部」の章では、過去の実績に酔いしれたことなどが原因で失墜した経営者の事例を多数報告している。有能な人というだけではリーダーになれないという証明だ。
後継者の育成に限らず、自らの資質を鑑みるのにも有効な1冊。
(日経ビジネス 2002/02/18 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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この本の根本的なイシューセットは正にその点にあり、なぜリーダーとして不適格な人材が、リーダーに選抜されてしまうのか?ということを実例を使って提示しています。
ありていに言えば、企業の次世代を担うリーダーを適切に見つけ出していくにはどうしたら良いのか?という問いに答える内容になっています。
そして、その問いに対して本書は「適切なリーダーとは見つけ出すのではなく、育てるものだ」と答えを出しています。
この「育てる」という視点がこの本の最大のポイントでしょう。
ではどのように?本書では下記のステップを奨励しています。
1:ビジョンを明確化し、経営課題を明らかにする
2:課題に基づき、リーダーに求められる行動・能力を明らかにする
3:求めらる行動力・能力を学習できる仕事体験・経験をデザインする
4:体験から最もよく学ぶ人材をリーダー候補として選抜していく
上記のステップを見ればお分かりの通り、本書ではリーダーの資質として最も重要なポイントは「体験から学ぶ能力」であるとしています。
それも、出来れば成功体験より、失敗体験から学べる人材を、より学習能力が高い、としています。
一種のジレンマとして、成功者をリーダーに据えたい、という経営幹部の希望と、成功者ほど他者・経験から学ぼうとする態度を無くしてしまうという点も指摘されています。
論旨も明快で、具体的でかつ説得力があるのですが、全般的に訳が読みにくいことと、無意味なアナロジーの濫用が目につくので星4つとさせていただきましたが、リーダーシップ論を学ぶのであれば必読の一冊ではあるでしょう。
キャリア間の断層と各段階における必要な能力について、わかりやすく記載されています。
私は自分自身を見つめるために使用しましたが、良い知識を得ることができたと思っています。
しかし、何でもかんでも「教えてもらおう」という姿勢でいると、ちょっとがっかりするかもしれません。自分で道を切り開く、そんな人には何かつかめるものがあるんじゃないでしょうか。
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