最近お気に入りの作家、福田和代氏の作品なので、期待して読んでみたが、連続爆破テロ事件やペルーからの捜査官なんていう舞台仕立てや登場人物の設定の割には、ちょっと地味な印象を受けた。
でも実は、現代日本の抱える様々な問題が浮き彫りにされていて、著者の問題意識が伺われて、かなり深い作品だ。
爆破テロを題材にしているけれども、著者のお得意なテクノロジーに関する深い知識などはあまり披露されず、むしろ、不景気による就職難、外国人労働者の待遇の問題など、登場人物の抱える人間性を深く描こうとしているのが印象深い。
著者が得意とするスケールの大きい最新のテクノロジーを題材にしたサスペンス小説を期待しているとちょっと拍子抜けしてしまうけど、著者の新境地を開く一冊になるかと思うと、それはそれで、興味深く読めた。
ただ、ちょっと残念なのは、折角用意した登場人物が生かしきれていないかなぁと思うところ。ぜひ、主要な登場人物を再度登場させた続編を読んでみたい。