爆風の最高傑作は次作「I.B.W.」という評価もあるし、デビューからの2枚(「よい」、「しあわせ」)も出来はよい(個人的にこの頃が好み)。ただ、やはり言い尽くされたことになるかもしれないが、「Runner」を境に爆風は変わってしまった。それは、当事者が意図したことではなく、爆風を取り巻く状況・マスコミ・にわかファン、そして社会の状況がそうさせたのかもしれないが、結果として明らかに「青春」というキーワードばかり強調されるバンドになってしまった。シングル「旅人よ」の時には「誰でも何でも応援する爆風スランプ」なんて揶揄されたこともあった。
2005年のリユニオンライブのキーワードは「青春」と「恋愛」だったが、爆風スランプの持ち味は、ここに「怒り」と「(ニューウェーブに通じる)ナンセンス」が四本の柱で、それが均衡を保っていたのがこのアルバム「ハイランダー」までだと思う。実際、「青春」=「きのうのレジスタンス」「Runner」「The Blue Bass Blues」、恋愛=「月光」「Bitter Memories」「ひどく暑かった日のラブソング」、怒り=「ハイランダー」「スパる」、「ナンセンス」=「耳たぶ」「穴があったら出たい」「目ん玉」と絶妙のバランスだ(「転校生は宇宙人」は「NHKみんなのうた」の為に書き下ろされた曲なので区分けが難しい。「青春」と「ナンセンス」の間だろうか)。
このアルバムのリリースは厳密には「Runner後」なのだが、「Runner」のヒットを受けて制作されたアルバムではないので、周囲からの余計な雑音が無かったのはこれが最後。バンドアンサンブルも円熟して脂がのってきた時期だし、このアルバムが間違いなく爆風スランプの最高傑作なのだ。早く通常に購入できるようにして欲しいと願う。