「絶好の哲学入門書」というキャッチコピーに違わぬ、一緒に考えながら読める良書です。翻訳も読みやすさを配慮した丁寧な仕事だと思います。
振り回された一方の対話者(ハイラス)が第三対話の冒頭でふてくされていたり、もう一方の対話者(フィロナス)もおんなじことを何遍も言わされるのでイラついてたり、対話篇ならではのやりとりが面白く、時にはこっち、今度はあっちと、感情移入しながら読んでいると、いつの間にか自分でもおんなじ問題を考えることになります。
同文庫にある『人知原理論』の普及版と一応は言えますが、解説にもあるとおり、『原理論』に対する反論などもふまえて新たに加えられた議論があり、これがまた新たな問題を提起する箇所だったりします。両方の邦訳が文庫で読めるようになったのは何よりです。